「どうぞ」が繋ぐ、冬のぬくもり
小さな手袋の中で起きる、奇跡の物語
雪の中に落ちた、片方だけのてぶくろ。そこへ、寒さに震える動物たちが次々とやってきて、「入れて」と仲間入りを求めます。
ウクライナの美しい民話を、ラチョフの力強い挿絵で描いたロングセラー。どう読み聞かせに活かしますか?
はい、SIKOMU編集部です。今回紹介する絵本は受容と共生が描かれた優しい物語です。
この絵本のあらすじ
おじいさんが森の中に落とした片方のてぶくろ。最初に見つけたのは「くいしんぼねずみ」でした。そこへ「ぴょんぴょんがえる」や「はやあしうさぎ」がやってきます。
てぶくろの中はもう満員。それでも、大きな熊までもが「入れておくれ」と頼みます。もう入らないはずなのに、不思議にてぶくろはどんどん膨らんでいき……。
反発することなく、ごく自然に席を譲り合う動物たちの姿に、心がじんわりと温まります。
てぶくろ
民族衣装をまとった動物たちが愛らしい。繰り返しの楽しさと不思議な包容力に満ちた傑作です。
「心の余裕」が居場所を作る
窮屈なはずなのに、どこか心地よい場所
物理的な広さよりも、相手を受け入れようとする「心の広さ」が、そこに調和を生み出します。動物たちが肩を寄せ合う姿は、共同体のあるべき姿そのものです。
「無理だ」と断るのではなく「しょうがないなあ」と受け入れる。その柔軟さが、冷たい雪の中で命を守るぬくもりになります。
大人が読むと、現代社会で忘れがちな「寛容さ」の大切さを再確認させてくれます。
この物語を読んで感じたこと(感想)
物語のクライマックス、てぶくろの姿はもはや原型を留めないほどに……。
そこまでしてみんなで温まろうとする姿には、理屈を超えた生命の連帯感を感じます。窓やはしごまで描かれた「てぶくろの家」の細かな描写は、いつまでも眺めていたくなる魅力があります。
最後に訪れる余韻は、冬の澄んだ空気のように静かで、それでいて確かな満足感を与えてくれるものです。
振り返り:この本が教えてくれたこと
「分かち合うこと」の心地よさと、小さな優しさが集まって生まれる「大きな安心感」を教えてくれる物語。
完璧な条件が揃わなくても、知恵と少しの譲り合いで幸せは作れるのだと、「調和の美学」を静かに語りかけてきます。
寒い夜、布団の中でこの物語をめくり、心の中にてぶくろのような温かな場所を育ててみてください。
この絵本を読んだあと
少しだけ広がる「心のキャパシティ」
忙しさやストレスで、自分を保つので精一杯になってしまうこともあるかもしれません。
そんな時こそ、てぶくろの動物たちを思い出してください。少しだけスペースを空けることで、あなた自身ももっと温かくなれるはずです。
世界を少しだけ温めるのは、いつだって誰かの小さな「どうぞ」から始まる。そんな魔法を信じてみませんか。
てぶくろ
民族衣装をまとった動物たちが愛らしい。繰り返しの楽しさと不思議な包容力に満ちた傑作です。

