現実と幻想が交差する、一夜の冒険
子どもの内なる「野生」を肯定する物語
いたずらがすぎて、夕飯抜きで寝室に放り込まれたマックス。すると、彼の部屋に突然、木が生え、森が広がり、海が現れます。
世界中で愛され、映画化もされたモーリス・センダックの最高傑作。どう読み聞かせに活かしますか?
はい、SIKOMU編集部です。今回紹介する絵本は感情の嵐を乗りこなす成長の旅です。
この絵本のあらすじ
狼の着ぐるみを着て大暴れしたマックスは、船に乗って「かいじゅうたちのいるところ」へとたどり着きます。そこで彼は、恐ろしいかいじゅうたちの王様になりました。
目をむき、牙を鳴らすかいじゅうたちと一緒に、マックスは「かいじゅうおどり」を楽しみ、自由奔放に振る舞います。しかし、王様になったマックスは、ある大切なことに気づき始めます。
爆発するような怒りの先で、マックスが見つけた「本当に求めていたもの」とは……。
かいじゅうたちのいるところ
圧倒的な画力で描かれる空想の世界。子どもの複雑な心理に寄り添う、深く豊かな一冊です。
「愛されている」という無言の確信
【誰かを遠ざけたくなる時、実はもっとそばにいたい】
かいじゅうたちは、マックスの「怒り」や「反抗心」の象徴でもあります。それらを存分に解き放つ場所があるからこそ、子どもは健全に成長できるのです。
暴れ疲れた後に訪れる、ふとした静寂。そこにあるのは、どれだけわがままを言っても変わらずに自分を待っていてくれる存在への信頼です。
大人が読むと、自分の「内なるかいじゅう」を認め、許してあげるような優しさに包まれます。
この物語を読んで感じたこと(感想)
空想の旅を終え、マックスが現実の寝室に戻ってきたとき、そこに置かれていたものは……。
このラストシーンの描写は、世界中の読者の心を温めてきました。言葉による説明は一切ありません。しかし、そこには宇宙よりも広い「親の愛」と、子どもの「安心」が満ち溢れています。
感情をぶつけ合っても、結局は「大好き」という場所に戻ってこられる。そんな幸せな循環を、見事な美学で描き切った唯一無二の物語です。
振り返り:この本が教えてくれたこと
「自分らしくあること」と「愛されること」が矛盾しない、という心の安全基地を鮮やかに描いた一冊。
反抗期や、感情がうまくコントロールできない子どもたちに寄り添い、「どんなあなたでも、ここはあなたの居場所だよ」と全肯定してくれる力強さがあります。
マックスと一緒に、心の奥底まで旅をして、そして清々しい気持ちで戻ってきてください。
この絵本を読んだあと
少しだけ優しくなれる「子どもへの眼差し」
子どもの「いたずら」や「怒り」も、一生懸命に自分の世界を広げようとしている証拠かもしれません。
マックスがそうだったように、たっぷりと空想の海を泳がせてあげて、最後は最高に温かいスープで迎えてあげたい。そんな気持ちにさせてくれます。
あなたの大切なかいじゅうが、安心して旅から戻ってこられるように。今日という日を、最高の「お帰り」で締めくくりましょう。
かいじゅうたちのいるところ
圧倒的な画力で描かれる空想の世界。子どもの複雑な心理に寄り添う、深く豊かな一冊です。

